名古屋友禅 型友禅とは

型友禅は、友禅模様を型彫りした型紙を下絵の代わりに用い、使う色ごとに型紙を用意して絵柄を付けていく友禅染です。 名古屋における型友禅は、その起こりを紺屋での旗や幟などにあると言われ、江戸時代末期には、型友禅の産地基盤を確立しました。 明治に入り京都などから新しい技術を導入するなど、生産が拡大してきました。

技法

型友禅は、模様を彫った型紙を生地の上に置き、その上に色糊(いろのり)を置きヘラを使って塗りつけていきます。
色糊とは、糯米(もちごめ)と米糠(こめぬか)と染料を混ぜたものです。

型染は型紙を移動しながら染めていくので継ぎ目がわからないようにしなければいけません。
色によって型紙が違います。色の数だけ型紙が必要になってきます。

繰り返し柄の場合の型紙は色の数だけが必要枚数ですが、染める着物が訪問着などの柄づけである絵羽模様になると繰り返し柄ではないので多数の型紙が必要になります。
多いものだと一着に数百枚以上の型紙が必要なものもあります。

赤色を染める型紙、黄色を染める型紙、緑、青、等々、色ごとに型紙が必要で繰り返しの染になりますが、大変なのはそれだけではなく、型紙を置く時にずれないようにすることです。

型紙を置く時にずれてしまうと模様になりません。
型染めには熟練した技術が必要です。

型友禅の技法としては色糊を使わず、染料を直接丸刷毛で型の上から摺り込む技法もあります。

型付けが終わると地染の作業に入ります。地染が終わると蒸して染料を生地に浸透させます。その後水洗いして糊を取り除きます。

歴史

尾張藩主徳川宗春(とくがわむねはる)の頃(1730~1739年)に、京都、江戸などから友禅師が往来し、その技法が伝えられたことに始まります。しかし宗春失脚後、質素倹約が励行されるようになり、模様の配色も色数を控えたものへと移行しました。現在まで江戸時代末期の染色品が保存されており、また染色関係の品としては、 伊勢形紙の販売の記録が残されています。

特徴

名古屋地方の質素倹約を気風とする土地柄が、色数を控えた単彩濃淡調の「渋い」色使いを生み出し、その独特の“渋さ”が愛されています。
京友禅が華やか、加賀友禅が繊細であるのに対して、名古屋友禅は渋さをその本質とします。